第2期戦略研究報告書 (2001年4月~2004年3月) 環境産業プロジェクト

アジア各国は1960年代から30余年間に亘って高い経済成長を示してきた。他方、これらの国々では、経済成長を急ぐあまり、環境面への配慮がなおざりにされてきた。こうした現状を踏まえ、環境産業プロジェクトでは、21世紀にアジア諸国が持続可能な発展を実現せんがために不可欠な環境産業の発展が、いかなる現状にあり、いかなる問題点を抱えているかを調査し、将来に向けた具体的政策提言を行うことを目標とした。

特に、本プロジェクトは、アジア・太平洋地域の4ヵ国(中国・インド・インドネシア・韓国)において環境技術、環境管理ノウハウ、環境設備産業の発展と促進のために採られた主要な政策を、今後の環境産業発展を加速化する提言を行うため、詳細に分析調査した。環境産業は広範な環境問題を対象とする産業であるが、本プロジェクトはアジアの発展途上国においてもっとも深刻な問題である、大気、水、土壌汚染、廃棄物処理の問題に焦点を当てた。

具体的には、調査対象国の環境産業にかかわる下記研究項目を扱った。
● 環境産業発展の現状および直面している課題
● 環境産業発展のための調査対象各国政府の主要施策
● 環境産業発展に対する外国の多国籍企業による寄与および問題点
● 環境産業発展に対する二国間および多国間援助、都市間協力の寄与とその概要
● 研究メンバーによる対象国及び援助国政府、国際機関並びに国内外民間企業に対する勧告

上記研究目的を達成するために、本プロジェクトは、中国、インド、インドネシア、韓国、アメリカ、日本からの研究協力者による国際研究チームを組織した。また、環境産業研究会を組織し、環境産業及び環境政策の分野で経験のある講師を外部より招き、IGES東京事務所にて研究会を開催した。各講師は、民間企業の環境部門関係者、環境・開発問題のコンサルタント、政府系開発銀行の研究者であり、研究会での意見交換は研究プロジェクトを進める上で非常に有意義な成果をもたらした。

また、本プロジェクトは、海外および日本の研究協力者の参加を得て2002年および2003年の2回にわたりIGES本部にて「環境産業ワークショップ(International Workshop on Environmental Industry)」を開催した。ワークショップは、プロジェクトメンバー間で、調査対象国の環境産業の現状と発展を促進するための主要課題、さらには、環境産業の発展を図るための政策手段等に関し相互理解を図るために開催され、非常に有益な成果を上げることができた。

本プロジェクトは、これまでの研究成果を、報告書“Environmental Industry Development in Selected Asian Developing Countries; China, India, Indonesia and Republic of Korea”として2004年3月にとりまとめた。報告書は調査対象アジア諸国の環境産業発展における主要な政策課題の詳細な分析に留まらず、将来の発展に向けた当該国、先進国への政策提言を含むものである。

環境に配慮し持続的発展を図ることは、世界のすべての国々が直面する重要な課題のひとつである。とくに経済発展を急ぐアジア・太平洋地域の発展途上国においては、環境問題への十分な認識、法的フレームワーク、環境保全のための人的・組織的能力なしに環境破壊が急速に拡大している。本報告書は、環境産業発展のためどのような政策が有効であったか、また、有効でなかったか、さらに、援助国、国際援助機関、外国多国籍企業は環境産業育成のためにどのような貢献を行ったか、等を探る貴重な資料となる。本報告書で取り上げた政府、民間企業の環境問題に対する知見は、多くの発展途上国が人材育成、組織能力の向上を通じて今後自らの力で環境産業の発展・強化するために貢献すると期待される。また、国際社会からのさらなる支援を可能とする具体的政策提言となるであろう。本報告書の政策提言が、発展途上国の環境産業をより有効に、かつ持続的に育成発展させ、環境と社会経済の調和のとれた発展の契機となることを期待する。

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