第2期戦略研究報告書 (2001年4月~2004年3月) 気候政策プロジェクト

気候政策プロジェクトの第2期の研究は、国際的枠組みあるいは域内・国内の気候政策をめぐって、さまざまな意見の不一致、そして時には対立が起きる中で行われた。こうした情勢は、本プロジェクトの研究のあり方や焦点に影響を及ぼしており、今後もその影響は続くと考えられる。第1に、気候問題には科学的、政治的、経済的にかなり不確実な要素が伴うが、気候変動を緩和するためには、早急にグローバルな行動をとることが不可欠であるというコンセンサスが広まっている。主として排出量取引やクリーン開発メカニズム(CDM)といった京都メカニズムの制度設計に焦点を置いた第1期研究の実績及びアジア太平洋地域全体の政策立案者や研究者との集中討議に基づき、同プロジェクトは、第2期には研究の方向性の見直しを行い、3つの主要なサブテーマ、すなわち、国内政策、国際協力、脆弱性とガバナンス(統治)の問題に重点的に取り組んだ。第3期に向けての準備の一環として、いくつかの関連トピック(「ポスト京都」問題等)に関する追加的研究にも着手した。また、プロジェクトの重点を戦略的な気候政策研究へと移行させたことから、プロジェクト名は、第1期の「気候変動プロジェクト」から「気候政策プロジェクト」へと変更された。

第2期研究の主要な目的は、京都議定書の目標を日本が達成するための整合的で包括的な政策ミックスを提案し、アジアにおける気候政策分野の国際協力を促進するための効果的な措置を検討し、さらに「ポスト京都」問題と適応政策に関する更なる研究のための基礎を築くことであった。これらすべての目標達成に向けて大幅な進展があった。研究結果は、日本が高いコスト効果と環境効率を達成するためには、政策や手段の広範なポートフォリオを段階的に実行する必要があることを示した。国際協力面での研究は、能力構築を含めたCDMの実施問題についての研究の継続が極めて重要であることを示した。また、数々のワークショップや政策対話を開くことにより、計画担当者・政策立案者のアジア地域に関連した気候変動関連問題に対する一般的な意識と知見を高めることに成功した。そして、結果的にさまざまな部門の政策立案や開発計画において、気候変動問題に対する関心を高めることになった。ワークショップは政策立案者、産業界、一般大衆、その他のステークホルダーの間の討議を盛り立てただけでなく、アジアにおける政策課題と政策オプションについての一般の知識を高めた。脆弱性の問題に関する研究では、ボトムアップ、つまり下から上へのアプローチによって進めることができる政策オプションがいくつかあり、それによって適応政策に現地の知識を組み入れることが可能であることを示した。「ポスト京都」問題に関する研究は、将来の気候レジームへのグローバルな参加を達成するには、そのために不可欠なインセンティブを早急に把握することが必要であることを示した。

今期のわれわれの研究は、既存の共同研究や組織ネットワークを強化し、地域の制度・個人の能力構築にも貢献した。本プロジェクトの主要パフォーマンス指標(適時性、ステークホルダーのニーズへの対応、計画された活動の完了度、アウトプット達成度、地方・国際政策への影響、コスト・パフォーマンス)の自己評価は、プロジェクトのすべての分野で満足すべき進展があったことを示した。気候変動という難題は長期的にわたるものであり、それだけに、アジアの環境保護と持続可能な開発を最大限に達成することが可能な、整合性と耐久性を備えた政策オプションの設計に長期的に取り組むことが必要である。本プロジェクトは、これまでに実績と成果を積み重ねてきており、今後も気候変動への対応に大いに貢献できる立場にあると思われる。

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