Can United Nations lead low-carbon technology transfer? Analysis of the technology needs assessment (TNA) and recommendations for improvements

Event: SEEPS
Conference Paper

要旨
1.はじめに
2001年の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第7回締約国会議(COP7)にて、途上国において技術ニーズ評価(TNA)を行うことが決定した。2009年から開始した「第一期グローバルTNA」では、地球環境ファシリティ(GEF)の資金提供により国連環境計画(UNEP)が主導し、2013年までに36カ国におけるTNAが実施された。2012年COP18では、途上国の技術ニーズに応えるため、気候技術センター・ネットワーク(CTCN)と呼ばれる仕組みが設立された。CTCNはUNFCCCの下で気候変動対策に資する技術移転を促進するための国際メカニズムであり、国連環境計画(UNEP)を中心に13の機関によって運営されている。一方、気候変動における技術移転の必要性は以前から指摘されているものの、国際的な低炭素技術移転は必ずしも成功しているとは言えない。そこで、本稿ではUNEPによるTNAのプロセスにおける課題を分析し、今後実施されるTNAの改善点を示すと共に、CTCNとの連携を強化し、低炭素技術移転の促進に向けた課題を検討する。

2.分析方法
本稿では国連環境計画が主導して行った技術ニーズ評価(TNA)のプロセスに関して、アジアの途上国8カ国を対象としてインタビュー調査を行い、その結果を基に、TNAのプロセスおよび各国における課題や成功要因、その後の技術移転に関する対応について分析した。特に、TNAの実施の際のトレーニングや方法論の理解、関係者間の協議の実施に関する課題、TNA結果やその後の技術行動計画(TAP)の策定後に、国内でどのような対応がとられたかを調査した。インタビュー調査は、2014年にバングラデシュ、カンボジア、インドネシア、モンゴル、ネパール、スリランカ、タイ、ベトナムにて実施し、主にTNAに関わった政府関係者やステークホルダー対して、対面・質問紙によるインタビューを実施した。
また、CTCNの制度がどのように低炭素技術移転に資することが可能かという観点から分析を行った。なお、本稿は「技術移転」の定義を気候変動に関する政府間パネルによる「政府、民間部門主体、金融機関、NGO、研究/教育機関などのさまざまな利害関係者の間の、気候変動の緩和と適応のための知識、経験、設備の流れを対象とする幅広いプロセス」(IPCC 2000)として論じる。これには、ハードウェアとして技術を他国に導入するにとどまらず、技術を学習し、現地の状況に合わせて修正を行うプロセスや政策作り、能力開発も含まれる。

3.分析結果
インタビュー調査の結果、各国は示されたガイドラインに沿ってプロセスを進める努力をし、関係者協議を行った上で技術ニーズを評価したことが示唆された。また、対象とした8カ国のうち7カ国にてTNAを基に技術行動計画(TAP)の策定も行われていた。一方で、TNAに関わった関係者からは、TNA報告書の完成やTAPの策定状況について不案内であり、十分な国内フォローアップが行われていないことも明らかになった。
また、TNAプロセスの共通課題として以下の点が挙げられた。1)TNAハンドブックの読解が困難でプロセスの実施が容易でなかった。2)マルチ・クライテリア分析の方法論が複雑で実施が困難であった。3)TNAプロセス(ワークショップや協議)への関係者の出席が継続的でなく、見解の継続性にも影響が出た。4)技術の選択や優先順位付けが主観的に行われた。5)各セクターにおける準備や協議の時間が限定的であった。6)民間セクターおよび金融機関からの参加が限定的であった。

4.結論
分析の結果、TNAのガイドラインに関するトレーニング不足および情報提供のあり方が課題であることが示唆された。TNAおよびTAP策定が実施されたものの、プロセスに参加する関係者の選択方法、民間セクターや技術移転の際に重要となる資金提供に係る金融機関などからの参加が限定的であったため、当該国の選択した技術が必ずしも実態に沿っていない状況も示された。一方、技術ニーズが明らかになったものの、その後のフォローアップがなされていない例が多く、CTCNなどを活用することで技術の導入及び運用等に関する能力構築を行い、技術移転につなげられる可能性が示唆された。
TNAプロセスの改善点として、まず、方法論のトレーニング受講者をプロセスに参加する全員に拡大することが挙げられる。また、初期段階から民間セクターや金融関係者を巻き込むことで特定された技術の導入に向けた対応がスムーズに行われることが求められる。これには、TNAおよびTAPを活用する意義が示されること、政治的な認知度が高められることが重要であり、TNAを基にCTCNへの技術移転要請が行われることやTNAやTAP結果の国内周知、技術移転に向けた政府の体制作りが重要である。特に後発開発途上国などを中心にトレーニングを実施し能力開発を行うことは有益であると考えられる。

Date: