2020年以降の気候変動対策に関する米中合意目標の評価

2014-05
Discussion Paper
2020年以降の気候変動対策に関する米中合意目標の評価

2014年11月12日、米中首脳会談後の共同声明において、米国と中国が、以下のような温室効果ガス(GHG)の排出削減目標を発表した。
o 米国:2025年までにGHG排出量を2005年比で26~28%削減
o 中国:2030年頃までに、なるべく早い時期にCO2排出量を頭打ち(ピークアウト); 一次エネルギー消費における非化石燃料の割合を2030年までに約20%
 本稿では、米中の2020年以降の温暖化対策目標について、既存文献で示される両国の排出経路シナリオと比較することにより、目標の野心度についての評価を行った。評価するに当たり、気温上昇2℃未満抑制に向けた排出経路との整合性、及び目標達成のための追加的な努力の必要性、という二つの評価軸を用いた。前者は環境十全性の視点から評価であり、後者は目標達成に要される努力の程度や実現可能性の観点からの評価となる。
 米国の目標レベルは2℃目標を達成する場合に辿りうる排出経路に近づいてきていることが示唆された。同時に、発表された目標を達成するには現行あるいは提案中の政策を実施するだけでは不十分であり、より踏み込んだ施策、特に、連邦レベルでの新たな施策が必要となる可能性が高い。
 中国については、2℃目標達成には遅くとも2020年代前半でのCO2排出のピークアウト(排出レベルは9ギガトン(Gt:10億トン)以下)が必要であることで各研究は概ね一致しており、ピークアウト時期を2030年からどの程度早められるかが一つのカギとなる。石炭消費の2020年ピーク目標を巡っては、専門家の間ではピーク年を2020年からどの程度前倒しできるかが議論の中心となっており、これは2020年代のCO2排出量ピークアウトの可能性を示唆するものである。目標達成へ向けた追加努力の必要性については、経済構造(産業構造)の変化や政策強化をどう見込むかにより、中国は2030年前後でピークアウトする排出経路に既に乗っているとの見方がある一方、実現するためには政策努力の一層の強化が必要との評価もある。ただし、2030年前のピークアウトを確実とするためには、追加的な政策努力の強化が必要といえる。

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