開発協力プロジェクトの評価枠組みに関する再考

In SRIDジャーナル
Volume (Issue): 第15号
Non Peer-reviewed Article

プロジェクト・マネジメントの枠組みとしてログフレーム(ロジカル・フレームワーク)が提案されて約半世紀が経つ。近年、新たな評価手法における潮流が出てきている。一つは、社会的インパクト投資の流れを踏まえたインパクト評価(Impact Evaluation)であり、プロジェクトの介入に帰属する成果を定量的に把握することを重視する。一方、アウトカム・マッピング(Outcome Mapping)に代表される質的評価においては、想定外または定量化できない経験知を把握することを重視している。さらに、変化し続ける状況の中でイノベーションを起こすためには、プロジェクトも状況から学び発展する必要があるとの考えから、そのような目的でプロジェクトを支援するための発展的評価(Developmental Evaluation)が提案されている。筆者らは、国連持続可能な消費と生産 10 年枠組み(10YFP)の持続可能なライフスタイルと教育(SLE)プログラムを運営する中で、途上国・新興国において現地の NGO や研究機関が実施する小規模なキャパシティ・デベロップメントや教育関連プロジェクトの選定、評価、技術的助言を担当している。新たな評価の潮流を踏まえ、ログフレームとそれに対応する活動計画表によるプロジェクトの計画策定や評価では不十分であろうという議論があり、評価枠組みを新たに提示し、活用することを 2017 年から試行している。本稿では、筆者らが試行的に活用しているプロジェクト評価枠組みとその活用経験を踏まえ、今後の開発協力プロジェクトに求められる評価枠組みについて検討する。

筆者らが提案している評価枠組みの概要は以下の通りである。
① プロジェクトの評価は、成否を結論づけるよりも、プロジェクトの計画・実施の迅速な改善につなげていくことを目的とする。
② プロジェクトの評価は準備・計画、継続的なプロジェクト実施支援、スケーラビリティを含めたその後のフォローアップまでのプロジェクト・サイクル全般で活用する。
③ 評価者はプロジェクトを継続的に支援するファシリテーターとして位置付け、準備段階から実施者と共に評価を開始し、毎月〜四半期毎等、頻繁に実施者との対話を行う。
④ 準備段階においては、プロジェクトが意図する未来像と現場のギャップ分析、プロジェクト活動からインパクト形成までの流れと仮定を明確化するセオリー・オブ・チェンジの策定を行い、これらは実施中から終了時まで更新していくものとする。
⑤ データ収集のために設定する指標は、アウトプットではなく、インパクトとアウトカムを中心とする。また、定量的な評価に加えて、定性的な指標も取り入れることで、測定困難な面も含めて表面的ではない進捗状況の把握に努める。
⑥ 指標に加え、振り返りを促す質問項目を設けることで、事前に設定したスコープにとらわれない予期せぬ気づきを把握し、プロジェクトの実施改善につなげる。
⑦ プロジェクト終了時には、量的な拡大のみならず、質的向上を含む多様なプロジェクトのスケーリングに関する検討を行う。
http://www.sridonline.org/j/doc/j201807s03a04.pdf

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