第2期戦略研究報告書 (2001年4月~2004年3月) 企業と環境プロジェクト

Business Report

企業と環境プロジェクトは、IGES関西研究センターの第1期におけるプロジェクトとして、2001年より開始された。プロジェクトの目標は、企業の自主的な環境保全活動を促進するための具体的な手法の展開と、そのための社会経済システムを構想することである。企業の自主的な環境保全活動を促進する手段として、環境会計、環境情報開示、環境経営評価の3分野について研究を行い、下記のような成果を得た。

環境会計に関しては、環境報告書に掲載されている環境会計情報分析および2回にわたるアンケート調査の結果、日本の環境会計実務が外部情報開示目的に偏っており、内部管理の手段として十分に活用されていない現状が明らかになった。この限界を克服すべく、本プロジェクトでは、代表的な内部管理のための環境会計手法であるマテリアルフローコスト会計の手法開発に取り組み、実際に企業2社へ導入実験を行い、特に、エネルギー費の管理と化学反応物質の捕捉と管理の可能性について、新しい知見を提供することができた。

環境情報開示に関しては、日本の上場企業全社を対象として、環境報告書の発行状況分析と開示情報の内容分析を行い、今後環境報告書を普及させていくための方向性を明らかにした。さらに、環境報告書の質を高めるために必要な比較可能性と信頼性の確保の方法について個別に掘り下げ、具体的な改善方向を明示した。また、環境報告書を社会的なインフラに発展させるためには、利用者ニーズに適合させることが必要であり、利用者ニーズの調査も行い、環境報告書で充実させるべき項目を明らかにした。

環境経営評価に関しては、エコファンドや環境格付け機関などによる企業の環境経営評価の手法と、企業内部で実施する環境配慮型業績評価手法の比較検討を行い、現状での両者の乖離は大きいものの、環境経営の評価は、企業外部と内部で統合されるべきであることを示した。また、環境経営評価を促進するための、環境保全効果の金額評価やエコエフィシェンシー指標に代表される環境経営指標のベスト・プラクティス分析も行い、今後の発展方向の指針を提供した。

さらに、本プロジェクトでは、アジア諸国の環境経営に関する基礎調査も行い、日本の環境経営技術がどの程度アジア諸国で適用可能か、その可能性を探る準備を行った。環境会計に関しては、アジアの主要国とネットワークを築き、定期的な情報交換ができるベースを構築した。

企業の自主的な環境保全活動を促進するためには、企業における環境保全活動の効率化だけでなく、適切な情報開示とそれに基づく妥当な評価が不可欠である。このような社会経済システムの構築に向けて、企業と環境プロジェクトの成果は有効な指針を提供するであろう。

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