第2期戦略研究報告書 (2001年4月~2004年3月) 都市環境管理プロジェクト

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アジアの都市は急速な経済成長を遂げているが、都市化の進展とそれに付随する問題は、都市の特徴であると同時に、環境問題の原因となっている。そこで、エネルギー消費パターンや環境悪化に関する問題に対処し、大幅に不足している環境インフラを整備する画期的な方法を検討することが強く求められている。その際、波及効果のある成功事例を活用する方式が都市レベルにおける環境問題解決の重要な要因となっている。

都市環境管理プロジェクトにおける第2期戦略研究では、アジアの都市の現状を把握するとともに、環境管理や都市環境インフラの整備に関する画期的なメカニズムや政策手段を検討した。また、幅広いネットワークから得られた成功事例をもとに行動計画を検討し、都市レベルでの環境ガバナンスのあり方を明らかにした。

研究課題および結果
本プロジェクトは、交通、水や廃水ならびに廃棄物管理など都市開発に関するさまざまな分野を対象に研究を実施した。その際、本期で特に以下の項目に重点を置いた。すなわち、(1)都市環境変遷の動的転換プロセスに関する研究(2)アジアのメガ・シティにおけるエネルギー関連政策の統合に関する研究、ならびに、(3)クリ-ンな環境のための北九州イニシアティブの実施支援および都市間環境協力ネットワークの整備、である。また、このプロジェクトにより得た知見を問題別に整理すると、以下のように分類することができる。

a. 環境悪化による悪影響を最小化するための、地域政策や産業政策などを含む総合的な都市計画
b. 都市環境インフラを改善する官民のパートナーシップ
c. アジアのメガ・シティにおけるエネルギー消費パターンと排出パターン、ならびにエネルギー関連政策との関係に関する検討
d. 都市環境政策を評価する指標の開発ならびに既存の指標の再検討
e. アジア太平洋の各都市における成功事例の分析、ならびに、北九州イニシアティブの地域環境管理に関する能力の向上

メガ・シティにおける環境管理を分析し、明らかになったことは以下のとおりである。まず、都市環境管理は、急増する都市環境サービスの需要をまかなうばかりでなく、潜在的環境負荷を制限するような環境にやさしい都市空間を創造するといった、「大都市特有」な性格を帯びなくてはならないということである。国連のミレニアム開発目標(MDGs)を達成するためには、各都市は、PPPやPSPのような新しい財政メカニズムを採用しながら、基本的環境サービスに対する需要を満たすための都市環境インフラ(UEI)を充実しなくてはならない。また、アジアのメガ・シティにおける持続的な大気環境管理メカニズムを構築するためには、局所的な大気汚染、省エネルギー、および地球環境問題に一体となって取り組むことが重要である。

さらに、リサイクルやリユースの比率が増えていることは、増え続ける廃棄物を処理する目的のためには最良の方法である。これらの活動に対して民間部門の参加を促すことが、アジアの各都市における成功事例から学んだ波及効果のある方法である。他の都市へ移行できるかどうかは別として、経験不足が都市レベルにおける環境管理向上の障害であることが明らかになり、北九州イニシアティブの能力向上に関する取り組みなどを通じてこの障害を克服する努力が行われている。

本プロジェクトは、ケース・スタディとパイロットプロジェクトを通じて、綿密な分析を実施するとともに、分析結果に基づく行動計画作成のためのネットワーク拡大を行った。また、上下水道、大気、廃棄物など、活発に議論が行われている主要な都市環境管理問題を網羅した。さらにこのプロジェクトは、背景の異なるさまざまな都市を対象とし、各地域おける環境問題をより広い視点で総合的に分析した。その際、本研究は都市環境インフラ整備における資金調達のあり方など、戦略的問題に重点を置いて研究を行った。

プロジェクトの運営と管理に関しては、研究者の国際的ネットワークを拡大するとともに、IGES内部の研究ネットワークを拡大する機会を作ったという点で、第2期は重要な役割を果たした。また、これまで開催してきたさまざまなテーマに関するワークショップや会議は、IGESの将来の活動範囲を広げたばかりでなく、IGESの研究者がアジア地域における緊急性の高い研究問題に取り組む契機となった。こうした取組みは、本プロジェクトの次期でも継続される必要がある。

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