環境面を含む企業評価の現状と課題

2003-No.5
Discussion Paper

環境省の「環境と経済活動に関する懇談会」は、平成15年6月に「環境と経済の好循環を目指して」と題する報告書をとりまとめた。この中で、環境と経済の統合を実現していくためには、「意識の革新」、「社会経済システムの革新」、「技術の革新」を進め、「3つの革新」を原動力として好循環を生み出していく必要があると述べている。そして、各経済主体の評価は、「各主体の環境保全意識は高まっているものの、環境行動を評価する仕組みが十分整っていないこと」として課題に取り上げられるとともに、「社会的責任を踏まえた環境経営の推進」、「融資・保険・投資のグリーン化」、「中小自治体での取組の充実」などの今後の基本的方向に関する提言の中でも触れられており、重要な政策課題として位置付けられていることがわかる。

一方、現実面では、企業評価に環境配慮を取り込むべく、金融機関やNPOが、様々な取組みを展開している。企業評価は、投資対象とする企業の選定や合併・買収を進めるために発達してきたが、エコファンドやSRIファンドなどが出現し、投資対象とする企業のスクリーニングなどにおいて、環境面を含めた企業評価が行われるようになってきた。また、金融機関に限らず、NPOも環境配慮型製品の消費運動などに留まらず、企業全体を評価する事例が活発になりつつある。

このような環境面を含む企業評価は、社会経済システムの革新を引き起こす上で中心的な役割を担うと考えられる。そして、それを政策的に誘導していくためには、従来型の企業評価の仕組みを概観し、新しい環境面を含む企業評価が、現在どのような状況にあるのかを把握することが重要である。本ペーパーは、このような問題意識に立って、企業評価の仕組みの現状について、「誰が、何の目的で、どのような方法で企業評価を実施しているのか」という視点から、評価を実施している機関をいくつかのグループに分類し、構造的に考察したうえで、環境面を含む企業評価の個々の事例分析を行った。そして、環境面を含む企業評価が、企業のPDCAサイクルの形成に役立ち、社会経済システムの革新につながっていくためにはどのような課題があるか、について整理を行った。

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