環境報告書における比較可能性の研究:自動車、ビール、化学工業を中心に

2002-No.9
Discussion Paper

ここ数年、わが国において環境報告書を発行する事業者が急増している。環境報告書を作成するにあたっては、環境省が発行しているガイドライン(環境省2001a、2001b)を参考にしている事業者が多い。ガイドラインが指摘しているように、内容報告にあたっての原則として、適合性、信頼性、理解容易性、比較可能性、検証可能性、適時性などが必要不可欠な構成要素であり、とりわけ、環境負荷の数値データを取り扱う場合は、比較可能性が重要な役割を果たしている。

数値データの比較を行う上で、1.特定企業の過去の実績と現在の実績の比較を行う場合、2.同一業種における企業間の数値データを比較する場合、3.異業種間の数値データ比較を行う場合などがある。今回の調査では自動車業界、ビール業界、化学工業界に焦点をあて、主として同一業種の企業間比較を検討することとした。本調査の目的としては、環境報告書の企業間における比較可能性の視点から、環境報告書における数値データの記載内容が現状どの程度比較可能かどうか、さらに数値データの比較可能性を高めるためにはどのような課題があり、どのような要件が必要であるかなどについて分析することとした。これらの知見は、今後の環境省ガイドライン改定にあたっての提言に役立つものと考えられる。

本調査研究の構成は、はじめに背景と目的を述べ、比較可能性に関するこれまでの先行研究をレビューする。ついで比較可能性を分析するための主要な企業群と各種項目を抽出するとともに、今回対象とした分析項目に関するガイドラインの主要な規定内容に言及する。さらに、自動車業界、ビール業界、化学工業界の3 業種についてそれぞれの記載内容を比較分析する形を取った。今回、対象とした各社の環境報告書は主に2000年版であるが、新たに発行された2001年版環境報告書との比較分析にも触れた。最後に、比較可能性の視点から、3業種の異同に注目して考察・取りまとめを行い、ガイドラインへの提言などに言及した。

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