日本企業による環境報告書の現状と課題:東証一部上場企業の内容分析を通じて

2002-No.10
Discussion Paper

本研究は日本企業の環境報告書の現状を整理し、その課題を明らかにするべく、東証1部上場企業で2000 年、2001年に発行された環境報告書の記載内容を詳細に分析したものである。まず環境省「環境報告書ガイドライン(2000年度版)」で記載が必要とされている18項目について、各社の環境報告書が記載しているかどうかの観点からデータベース化し、そのうえで複数の観点から分析を行った。分析結果を簡単に要約すると以下のとおりである。

環境報告書の発行状況としては、約20%の企業が環境報告書を発行しており、その数は今後も増加が予想される。業種との関連でいえば、最終消費者との関連度が高い業種が、記載項目の多さという意味での開示度が比較的に高い。項目別にみると、「報告に当たっての基本的要件」「環境に関する規制遵守の状況」「輸送に係る環境負荷の状況及びその低減対策」などでは、記載する企業の多い業種と少ない業種との格差が大きい。企業規模との関連では、製造業系の企業においては一般的に規模の大きいところほど開示度は高い。発行歴との関連では、その年に初めて環境報告書を発行した企業よりも、それ以前に発行していたところの方が開示度は高い。さらに、環境省「環境報告書ガイドライン(2000年度版)」で記載が望ましいとされた項目の記載が、同ガイドライン公表後に出された各社の環境報告書で増えていることより、同ガイドラインの影響力の大きさが推察された。

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