日本企業と韓国企業の環境経営: アンケート調査結果に基づく比較研究

2003-No.3
Discussion Paper

地球環境問題の重要性が高まり、経済のグローバル化が進展している中で、企業は、環境保全活動に一層積極的に取組むことが求められている。環境マネジメントのためのISO14000 シリーズ規格やGRI(Global Reporting Initiative)の持続可能性報告ガイドラインなど、企業経営に関する世界標準の整備が進められている中で、企業は、それらの世界標準を採択するだけでなく、貿易や直接投資などの具体的な事業活動を展開するにあたって、関係各国の企業の環境保全活動についての理解を深めることが必要とされている。また、企業の環境保全活動のグッド・プラクティスは、各国において注目されているが、他国の企業のグッド・プラクティスが何故グッド・プラクティスとされるのか、どのような点が参考となるのかを理解するためには、その企業行動だけでなく、当該企業が置かれている企業環境、すなわち当該国の制度的背景や企業全体の改革の動向を知る必要がある。

本研究は、日本企業と韓国企業の環境保全活動に関する実際の取組みと、その背景となる制度的枠組みについて、類似点及び相違点を明らかにすることを目的としている。企業の自主的取組みとしては、環境マネジメントシステムの導入などの共通点がある。しかし、企業の環境に対する自主的取組みを表現するキーワードは、日本では「環境経営」であるのに対して、韓国では「環境産業」や「環境技術」であり、両者の経営姿勢の間に相当な違いが有るようである。このような違いは、日本は、京都議定書おける温室効果ガス削減目標を達成するために取組んでいるのに対して、韓国では、都市部における大気質をOECD諸国レベルに早く引き上げようとすることに強い関心を置くなど、環境問題に対する認識の差によるものと考えられる。また、韓国の産業構造が、日本のそれよりも一層輸出指向であることも影響していると考えられる。本ペーパーは、日韓両国の企業が相互理解を深め、グッド・プラクティスを習得しあうことを支援するとともに、企業の環境経営や環境ビジネスの推進に関わる政策立案者及び政策研究者のための資料として活用されることを期待している。

Author:
Lee, Byung-Wook
Date: